「海……」







あたしの目には涙の雫がたまる。





海は何も言わずに、その涙の雫を優しく拭き取る。






海は腕を離した…と思ったら、ぎゅうと手を握ってきた。






繋いでる……あたしの手を握っている海の手からは、



「泣くな」



そう言ってるように感じた。






視線をあっちゃんに戻すと、涙をポロポロ流しながらあたしを見ていた。






あたしは、今すぐ駆け寄って抱きしめたい気持ちになって、




前に一歩出すとグイッと海に引っ張られる。






ふいに海を見ると、海は


「行くな」



それだけを言って視線をやっくんに移した。




あたしもやっくんを見ると、何やらやっくんは頷いて……それを見た海も頷いた。






そして、あっちゃんは無理矢理車に押し込まれて、やっくんは車に乗る前に





「萌亜、またな」





優しく微笑んであたしに言った。