♂ 海 side ♂






「だから、本当にありがとう」





俺の目を見て礼を言う萌亜の姿が、

なんだか凛々しく見えて少し寂しかった。






はっきり言って、


あんな焦ったメールなんて貰ったことなかったし、

あんな不安そうな表情を見たのは大阪に行くことを伝えた以来だった。






あっちゃん?

向笠の妹ってのが俺ん中でひっかかってたけど、


そんな事気にしてらんないやって思った。





いつ、こんなに凛々しくなったんだろう。




泣き虫のコイツ。


お人よしのコイツ。


どこか抜けてて、


無防備で、


それは今も変わらないけど、



誰よりも人を思うコイツは本当にすごいと思う。






まぁ、簡単に騙されそうなのが怖いけど。





「萌亜、来いよ。」



俺が腕を広げれば、


さっきとはまた違う、


甘えた笑顔で胸に飛び込んでくる。





「海ぃ……!!」

「はいはい。俺はココに居ますよ。」






周りには絶対見せない、萌亜の弱気な姿。





大阪に行く前までは、

いつだって人目気にせず弱い萌亜だった。





だけど今は、


俺と2人じゃなきゃ弱い萌亜にならない。






「もう、どこにも行かない?」

「あぁ。ずっと一緒に居てやるよ。」

「やったぁー!!」





……やっぱ、どこか抜けてるよな。






今のはプロポーズ?とか思うだろーが普通。