「ん?萌亜、どうした?」

「わかんないよ―…」



自分でもよくわかんないけど、

変わらない海の温もりが安心出来て泣けてきた。



「萌亜、中行くか。」

「う、ん」


あたしが返事をすると、

海はヒョイっとあたしを持ち上げて、お姫様抱っこする。



海がしているネクタイをギュっと握りしめて、顔を海の首元にうめる。


「萌亜、くすぐってぇ。」

「ん―……」


それでも、あたしが動く訳でもなく

ストンとソファーに優しく寝かされる。



それでも、海のネクタイは握ったまま。



「萌亜、離さねーの?」

「ん、ごめん」


海に言われて、

ようやくネクタイから手を離した。


海は、ふっと笑ってあたしの頭を優しく撫でると空いてる方の手でネクタイを緩めた。



そんな仕草さえ、色っぽくて見とれていたら海と目が合った。


海はニヤリと笑って、


「なに?見とれちゃった?」


いつものように、そう言った。

でも、今のあたしに反抗する体力も気力もなく


「……うん」


素直にそう、小さく言うと海は一瞬驚いた顔したけど、優しく微笑んで


「今日はやけに素直っつーか、甘えん坊だな。」


そう言った。