あたしがそう言うと、

海がニヤリッとしたことをあたしは見逃さなかった。



「へぇ?降りれないんだ?」


……やってしまいました、あたし。


嫌な予感がプンプンするのはあたしだけ?


「あ、いや、ね?」

「降りれないんだろ?」

「…………はい」


あたしがそう言うと、

海はまたニヤリッと笑った。




「降ろさしてやるよ」

「え?ちょ、きゃっ!」




あたしがなにかを言う前に、海があたしをお姫様抱っこする。




「う、海!降ろして!」

「やだ。このまま行く」


この人がすぐに降ろす訳もなく、

お姫様抱っこされたままで人がたくさん集まるところに歩いて行く海。




暴れても降ろす気配はまったくもってない。