「んー!」




両腕を上げて体を伸ばしている萌亜を観察する。




「良く寝た……え?」




あ、気づいた。


その驚いた萌亜の顔に俺は声を殺して笑う。







「え?な、なんで指輪があるの!?」





―そう、萌亜が驚いていたのはあるはずがない指輪が萌亜の左手の薬指にあるからだ。






俺は萌亜が寝た後、
一人浜辺に行って指輪を捜した。



指輪を無くした時の萌亜の表情はもう見たくないってくらい悲惨な表情だった。





あんな苦しそうで、
自分を責めてる顔なんて


―――一生見たくない。




そのお陰で俺は寝不足だけど、

萌亜の安心した嬉しそうな顔が見れたから良かった。







「まさか海捜してくれたの?」


「さあ?指輪が神隠しにあってたんじゃねー?」




絶対にバレる嘘をつく。