急いで来た道を引き返す。
馬鹿だ、あたし。
大切な指輪を落とすなんて!!
「ハァ、ハァ…どこ?指輪どこ?!」
浜辺に戻った時は息をするのが苦しくて、
でも指輪を捜さなきゃ!って一心で携帯のライトを使ってさがす。
「どこ?どこどこ!?」
「萌亜!」
追いついた海があたしを止めようと後ろから抱きしめた。
「また明日捜そう?な?」
――海。
「あんなん安もんだし。」
―安物なんかじゃないよ。
「また買ってやるから。」
―あたしはアレがいいの。
「戻ろう、萌亜。」
あたしは首をブンブン横に振る。
あれはあたしにとってすんごく大切な指輪なんだよ?
あれはあたしにしか持つ権利のない、
世界に一つだけの指輪なんだよ?
「萌亜……泣くなよ。」
「うぅ〜…」
あたしの馬鹿。
大馬鹿野郎!