「お前、指輪どうしたんだよ?」
「へ?ゆ、指輪?」
予想外の発言に目をまるくする。
だって指輪ならちゃんと手についてる……。
視線と一緒に右手で薬指を触る。
でも、そこにはいつも輝いてた指輪はなかった。
「え……ゆ、指輪がない?」
「どっかに落としたとか?覚えねーの?」
覚えねーの?って言われても……。
いつまで指輪がをしていたかも分からない。
でも、あたしが指輪を外すなんて絶対にないし。
――……いつ?
あたし、いつ指輪を落としちゃったの?
「まさかっ!」
「おい、萌亜!」
その場に海を残し、歩いて来た道を一人走って引き返す。
――…もしかしたら、
もしかすると、
さっき転んだときに外れちゃったのかもしれない…!