♀ 萌亜 said ♀
ヤバい―…!!
そう思った時、
ポスッ――
聞こえたのは痛々しい音なんかじゃなくて、
感触は痛いなんかじゃなくて、
「っと、」
後ろから聞こえる低い大好きな声。
あたしを支える大きな腕。
他の誰でもない……
「海……」
海だった。
「んっとに危なかっしい」
はあぁ、と大きくため息をついた海。
「ご、ごめんっ」
海はシュンとするあたしの頭をポンポンとすると、
まだ海の温もりがうっすら残る手を握った。
「ほら、早く行くんだろ?」
「……うん!」
自分がつまずいた物を確認することなく、
あたしはそのまま歩き始めた。
今度はちゃんと海と手を繋いで、海の隣を。
砂浜に残る、光った一つのリングの存在を知らずに―――…。