「さぁ、みなさん!ホタルを見に行きませんか?」
毎年恒例のおばさん提案。
海にホタルを見に行くんだ。
懐かしいな、ホタルも。
「海ぃーホタルだって!楽しみだね♪」
薄手な半袖の上から七分な上着を着た萌亜が俺の顔を覗く。
「あぁ、そうだな」
ホタル、か。
あんまり良い思い出がねーんだよな。
そう思いながらも萌亜と自然に指を絡ます。
ふと、目が萌亜と合うと恥ずかしそうに
「えへへっ」と笑う。
萌亜が作ったサラダは大好評で、
上機嫌の萌亜。
不安な表情なんて今は一切ない。
夜の海は昼間とは違って波の音だけが聞こえる。
「こちらですよ」
ホタルを見る時。
海にもホタルはいて十分綺麗。
でも、観光の奴じゃ絶対に見つけられない。
ここに住んでる人だってあまり知らない、
秘密なホタルスポットをおばさんは知ってる。
「ホタルいるねー!きれぇーっ」
少しずつ増えていくホタルに目を奪われている萌亜。