「でね?ポテトをメインにしてあって、味付けは甘いトマトにレモンを混ぜてあるの」
萌亜の説明を聞きながら、
またサラダを食べる。
まぁ、言われてみれば……野菜の味が分かる。
でも………、
「野菜の味が分かんなくていーのか?」
俺がそう聞くと、パアッと顔を明るくして首を上下にブンブン振る。
「そう!分かんなくていいの!」
「……は?」
分かんなくて、いい?
え、ダメじゃね?
野菜入ってんだから味するのが普通じゃね?
「あのね、今日泊まってる人達の苦手な野菜が入ってるんだ。だからね?味が分かんなかったら食べられるでしょ?」
そうやって笑う萌亜は、
相変わらずだ――。
何か料理を作る時。
俺は嫌いな物が余りないから聞かれないが、
誰かに料理を作る時は必ず聞くんだ。
「嫌いな食べ物はなんですか?」
って。
普通ならその人が嫌いと言った物は入れないだろーけど、
萌亜は違う。
一緒に好きな食べ物、
味付けを聞いては、
考えて考えて作り出すその人が嫌いな物を食べられる料理を。
「また、作れよ?」
「うん!」
嬉しそうに笑う萌亜は、
俺が惚れた最高の笑顔だった―――…。