俺が聞くとタクミは珍しく本気で考え込むように、空中の一点をぽかんと見つめていた。


俺はあいつらが許せない。


とてつもなく憎い。


あいつらが俺を連れて行かなければ。


俺も今頃家族と幸せに暮らしてただろう。


普通の家庭だったはずだ。


昔みたいに笑って、
たまに喧嘩して。


本気でむかついたり、
どうしようもなく恋しくなったり。


どうして俺だったんだ。


...違う。


どうして俺たちだったんだ?


まだ何も知らない10歳の子供を。
施設に送り込んで。