あの男...


あたしを連れにやって来たんだ。


あたし、とうとう思い出しちゃったんだ。


思い出さなければ良かった。


でも...
無理だよね。


“この国最大のプロジェクト”。


それは、きっとあたし達のことだから。


失われていた10歳から12歳の記憶が、一気に戻ってきた。


そのせいで、頭痛がしたんだろう。


あたしには、時間がない。


不意に、そう感じた。


逃げなくちゃ。


あの場所には戻りたくない。


絶対に。