「ねぇ、刹那はママの絵で、どれが一番好き?」

「...俺?うーん。あんま見ないしなぁ。」

「そっか。刹那は本ばっかりだもんね。」

「嫌味か?...でもお前らも本もたまには読めよ?」

「あたし、読んでるもん。」




好きな本は、いっぱいある。


...でも、“いっぱい”とは言えども、刹那ほどじゃない。


刹那はすごい読書家で、家にある本はほとんどすべて刹那の部屋にある。


あたしは勝手に刹那の部屋に上がり込んで、本を読んでる。


だから、あたしの好きな本は、刹那の本ばかり。


自慢できるものじゃない。




「劫は、全然読まないよね。」