「何でもないよ…」




そう言いつつも、俺はすでに疲れていた。


はあ、とため息をついてタクミから目をそらすと、今度はユメと目が合ってしまった。


ユメのほうは見ていられなくて、自分の足元に目線を移す。


泥の飛び散った靴。


このまま逃げ切るのはきついかもしれないな…


もう一度、ため息をつく。


体に溜まった苛立ちや不安を吐きだすために。




「朝飯、食うか?」

「…あぁ。」




横浜を出る前に買ってきた物も、底を突くのは時間の問題だ。