「…ごめん。」




俺の心を見透かしたように、ユメが謝る。


そしてそのままユメは歩きだしてしまった。


ユメが俺の横を通り抜けた時、俺は彼女を呼び止めることができなかった。


呼び止めて、問い質すことができなかった。


…ユメの正体が分からなくなってしまった。


3年ぶりに会って、3年間の年月の間で、ユメを見失ってしまった。




「ユメ…」




ノアの声が俺たちの周りにむなしく響く。


ユメは振り返ることもせず、スタスタと歩いて行ってしまった。

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「おはよう。どこに行ってたんだ?」




今日の朝のことに気づいていないタクミが明るい声で告げた。