―病院―

病院に運び、すぐ手当てしてもらい、今はベッドで眠っている。



『空乃はどうする?』


「授業時間もうすぐ終わりますから、ここに居てもいいですか?」



気付けばもうすぐ部活時間になろうとしていた。



『いいぞ。じゃあな』



先生が居なくなり、静かになった。

咲弥ってこんな一面あったんだ。

私達以外誰とも話さないから。


そっと窓から秋の冷たい風が病室に吹いた。

私と咲弥の髪をなびかせる。



『み…く?』



かすかな小さい声で名前を呼んだ咲弥。



「やっと目覚めた」


『ここは?』


「病院だよ。咲弥倒れたから」



そっと目線を私と反対方向に向けた。



『ごめん…』


「もう…謝んないで?」



でも、本当に生きててよかった。

あれ以上遅く運んだら、出血多量で死んでたって病院の先生と先生が話してたの、聞いちゃった。



『な~に、悲しい顔してんだよ?』



私の顔を見てニヤリと笑った咲弥。



「してないよ」


『嘘つけ!!』



不思議だね。

咲弥はなんでもわかっちゃうみたい。

私が元気ない時、いつも励ましてくれる。

私には今までこんな事してくれる人は彩芽ぐらいしか居なかった。