「なんだよ…自分たちばっかり…」

 急に静まり返った。

 「お兄ちゃんを…お兄ちゃんを返せ!」

 大声で叫んだ玲於君。

 「僕は最近ずっと勉強、勉強、勉強でお兄ちゃんと比べられて。

 僕お兄ちゃんと一緒に暮らしたくて璃音さんのこと心配するふりしてここ来たんだ。

 璃音さんがお兄ちゃんのこと選ばないように仕向けようって思って。

 選ばれなきゃ帰ってきてくれるかなって。

 お父さんやお母さんはあんな落ちこぼれにはなるなって言うけど僕にとって悠羽は一人だけのお兄ちゃんだから」

 「玲於…?」

 キョトンとした顔で玲於君を見つめる六人。

 「玲…於…」

 どこからか女の人の声がした。

 「か…あさん」

 振り返るとそこには、悠羽に似た人が立っていた。

 「あなたそんな風に思っていたの…?」

 「どうしてここに…」

 「神山さんから連絡をもらって…」

 涙をぬぐいながら話す玲於君のお母さん。