「あ…お兄ちゃんだ…」

 「お前約束が違うだろ!?」

 悠羽が怒った。

 初めて見たな…。

 「煩いな…」

 悠羽を睨む玲於君。

 やっと玲於君に解放された私。

 「さっさと出ていけ」

 いつもと違う低い声…。

 「何…怒ってんの…?」

 クスクス笑う玲於君。

 「璃音に話したな!?お前、僕のだけならまだしも皆のもバラしやがって!

 どれだけ皆が封じてると思ってんだよ!傷つくと思ってんだよ!

 お前は、幸せだと思う。本当の親にしっかり育ててもらってんだから!

 皆の言われたくない過去を璃音に言ってどうしたいんだよ!?」

 泣き叫ぶ悠羽。

 「どうって…お兄ちゃんや…その他の奴のそんな顔が見たいから…」

 笑いながら言う玲於君。

 「ちょっ」

 「璃音」

 私が止めに入ろうとしたのを奈桜に止められた。

 「なんで?」

 こんなに大変時に黙って見てるの?

 「これは、僕たちの問題だから。口出さないで?」

 悲しそうな表情を浮かべる。

 「わ、わかった…」

 ホントは、止めたかったけど悲しい顔されたら困るよ…。

 「俺たちもう過去なんざ気にしてねーぞ」

 空夜が言った。

 「嘘…つくなよ…」

 バカにしたように笑う。

 「嘘じゃないぜ?」

 陸玖が言った。

 「僕たちは、そんな親に捨ててもらってよかったと思ってる。

 捨ててもらったからこそ今こんなに素敵な執事仲間に、璃音お嬢様に、神山家の方々、友達に会えたんだ。

 幸せに思ってるよ」

 奈桜…。