「何すんの…?」

 「嫌だった?」

 私のファーストキス。

 大嫌いな奴に奪われた。

 「最低!」

 私は泣きながら部屋を出た。

 「くそっ!」

 空夜は、頭を抱えていた。



 ひどいひどよ…。

 「どうされました?」

 奈桜がいた。

 「な、奈桜ぉぉぉ」

 私は、泣きながら奈桜に抱き着いた。

 「え?」

 奈桜は、驚きながらも頭を撫でてくれた。

「ぅー…ヒック…」



 …あれ?

 「起きたか…」

 龍…?

 「う、うん」

 ここは、私の部屋?

 違う。

 「奈桜に頼まれて…勝手に女の部屋に入るのもどうかと…」

 「ぁ、うん…」

 怖い人かと思ってたけど、優しい。

 「ぁはっ」

 私は、意外性に笑ってしまった。

 「な…なんだよ」

 「ありがとぉ」

 ニコッと微笑むと龍は頬を少し染めた。

 「おぅ…」

 小声だったけど聞こえたよ。

 「どういたしまして」

 って。