「……時間がありません。

最後に、これをあなたに。

『紅の聖剣』

……戦いの役に立つでしょう。

紅炎、どうか世界を救って……!」



『声』はどんどん遠くなり、ついには途絶えた。


目を開く。


その虹彩は炎を宿して赤く揺らめいていた。


蔵のなかでいまだ強力なエネルギーの残りが渦巻いていたが、やがて静まった。


紅炎は床横たわっていたアーネットの授けてくれた聖剣を拾い上げた。


剣には丸い窪みがあり、宝玉をそこにはめ込んだ。剣と宝玉は共鳴し、戦慄いて炎を散らした。



「フェニキアクス、力を貸してくれるか?」



聖獣は主の言葉に歓び、わなないた。