―ドキンっ

ドキン?なんだ?
この胸の高鳴り。
初めてだ…


「あれっ?さっちゃん?」

柚流に“さっちゃん”と呼ばれた女子生徒がこっちに気付いた。

「…ん?、あっ!柚くん?」

さっちゃん?柚くん?
親しいな、おい。

「久しぶりだね!元気にしてた?」

「うん、元気。さっちゃんは何してたの?」

「息抜き〜。柚くん、そちらの方は?」

「あっ、さっちゃん!コイツ、友達の蓮!」

「よろしくね、蓮くん。」
女子生徒はほほえんだ。
俺は思った。
天使が舞い降りてきた。

「蓮、この方は副生徒会長でもあり、咲季翔のお姉様、岸澤颯稀サマだ!」

咲季翔の姉貴!?そういや、目元が似てる…

「初めまして…」

「で!岸澤理事長の娘さん!」

はっ!?理事長の娘!?

「じ、じゃあ咲季翔も理事長の息子!!??」

マジかよ…咲季翔はそんなこと一言もしゃべってねぇぞ?

「咲季翔はね、贔屓されるのが嫌いなの。皆にバレたら間違いなく贔屓されるでしょう?」