中庭の外れにある
誰もいないベンチに座ると
ケイが話し始めた。
「まさかアキが本当に
ここに来ると思わなかった。」
中学生の頃、
私は一度ケイと同じ大学に行く
と言ったことがあった。
「私も本当に来れると
思わなかった。」
そう言うとケイはクスッと笑った。
「図書館で偶然会った時、
初めアキだとわからなかった。
髪も伸びて大人になってて
正直焦った。
あの頃とずいぶん変わったね。」
驚いた。
まさか同じことを思ってたなんて…
「ケイもすごく変わったね。
さっきも廊下を歩いてくるとき
私ちょっと逃げたくなった。」
「どういうことだよ」と
ケイは笑った。
そして
「やっぱり変わってない」
と言った。