『KID』という赤い看板が見え、歩くスピードがおちたのは、少し怖じ気づいたから…


勇気をふりしぼり、ガラス張りのお店の中を、気づかれないようにそっとのぞく。

白と赤を基調とした店内では、鏡の前に座っているお客の後ろで、美容師たちが忙しそうに手を動かしていた。

そして私の目は、すぐに見つけ出す。


あの人の姿を


どんなにたくさん人がいたって、すぐに見つけられる。