「竜斗とね、喧嘩しちゃったんだ。……って言っても、うちが勝手に怒ってるだけなんだけど………」
自分でも、びっくりした。長谷川君に何言ってんだろって。
だけど、誰かに聞いてもらいたかったんだ。
今のうちは、一人で居るとどんどん沈んじゃうと思うし。
だから、話聞いてもらえるだけで、少しはスッキリするかなって。
「…うん」
長谷川君は、真っ直ぐ前を見つめながらそれだけ言った。
「うちはね、最低なんだよ。自分の気持ちだけを押しつけて、竜斗の返事も聞かないで逃げてきたの」
「………うん」
「怖かったんだ。うちが一番聞きたくない言葉を言われるのが」
「…………うん」
「ワガママだよね〜。ホント、うちって。最低だよ。こんな自分、大嫌い。ホント、最近……」
「違いますよ」
長谷川君は即答した。
「…え？」
