「あっ、すいません」


長谷川君は、うちが泣いている事に気付いたのか少し気まずそうに謝った。


「あ、いや、ごめんね」


うちは慌てて頬を濡らしている、涙を拭った。


「隣、いいっすか?」


長谷川君は、うちの横を指差して言う。


「へっ!?い、いいけど」


長谷川君は、小さく笑うと自転車を止めて、うちと少し距離を置いて隣に座った。


「竜斗さんと、何かありました?」


「えっ…………」


予想外だった。
長谷川君がそんな事を言うなんて。

うちと長谷川君の間には、あまり関係がないから。


接点は、ただ一つ。
真由の友達だって事だけ。

遊んだのだって、祭りの時だけだし。
しかも、ほとんど話してないしね。


「や、やっぱ今の無し!忘れてくださいっ。ははっすいません、オレ何言って―――」


「竜斗とっ」


「――え?」