たとえ、竜斗に飽きられたとしても、最初から遊びだったとしても、どんなに傷ついても。


竜斗と別れるよりは、マシだと思った。


竜斗と別れることが、うちは何より恐れてたから。



「ずぅ―」


鼻水をすする音だけが聞こえる。


うちは一人でとぼとぼと歩いていた。


涙は勝手に流れていて。
だけど、不思議と声は出なかった。


うちは気付くと、前に歩奈美さんと会った、あの河原にきていた。


青々としたきれい芝生の上に静かに腰をおろす。


どこまでも続く空を、何にも考えずにただ見つめていた。




「多田羅……さん?」



後ろから聞き覚えのある、声が聞こえた。



「えっ…………長谷川君?」


振りかえると、部活から帰る途中らしきユニフォーム姿の長谷川君………真由の彼氏が自転車にまたがっていた。