「ホントだよな?歩奈美の事、本気なんだよな?」


ねぇ、何を言ってる?
何を―――


「あぁ、本気だよ」


「りゅっう……と!?」


やっと、声が出た。
絞りだしたような、擦れた声だったけど。


「そか。よかった!ごめんなっ変な事言って」


隼人さんが、言う。


「いや、別に大丈夫」


そう言ってから、隼人さんは帰っていった。



うちは、竜斗の彼女じゃなかったの?


ねぇ竜斗。
うちは夢を見てるのかな?

隼人さんが去った後、うちと竜斗の間には、物凄く重い空気が流れていた。


聞きたい事、いっぱいあるのに。

怒りたいのに。

なんで嘘なんてつくの?

って。


歩奈美さんとの事って
どういう事?


って。


だけど、なぜかうちは竜斗を静かに見つめたまま、黙っていた。