「お前、まさか二股?」
隼人さんが、引きつった顔で竜斗に尋ねる。
…………………え?
うちは思考停止した。
何を言ってるの?
意味分かんない。
だけど、やっぱり竜斗は何も言わなかった。
「お前、ふざけんなよ?歩奈美と付き合ってんだよな!?歩奈美を裏切るような真似してんのか?」
ドクン。ドクン。
と、心臓がいつもの何倍も跳ね上がるのが分かった。
もはや、その時のうちの気持ちは自分でも覚えてない。
ただただ、うちは竜斗を見つめていた。
竜斗は、少し上を向いてうちを見た。
少し気まずそうにして、またすぐに下を向いてから言った。
「この子は彼女じゃないよ」
って。悲しそうに、今にも消え入りそうな声で。
ねぇ竜斗?
何を言ってるのか分かんないよ。
竜斗…………ねぇ?何を言ってるの?