私は力強くママの方に向き直って言った。
「大事な人を助けに行ってきます」
ママは少し黙った後、ニコッと笑ってから
「全力で守ってきなさい」
そう言った。
力強くうなずいた後、外へ飛び出した。
浴衣姿のまま、永遠に走り続けた。
はき慣れない下駄のせいで、水ぶくれが出来て、それが潰れて。
凄く痛かった。
だけど、走る事をやめなかった。
一秒でも早く、優也を助けたかったから。
「はぁはぁはぁはぁ」
優也の住んでいるアパートに着いた時には、肩で呼吸して、汗をたくさんかいて、せっかく綺麗にセットしたお団子も崩れてた。
だけど、その時の私には
そんな事どうでもよかった。
優也の部屋の前につき、インターホンを押す。
だけど、誰も出なかった。