横で、私と同じように介護士の話を聞いていた優也はこれ以上ないくらいに、悲しい顔………いや、悲しみを通りこし“無”の表情をしていた。




「優也……」


介護士がいなくなった後
声をかけてはみたものの、何て言えばいいのか分からず、何も言えなくなった。

「真由ちゃん。もう家近いから大丈夫だよね。
オレさ、用事思い出したから帰るね。ごめん」


え……?
優也、無理して……。


「け、けど……わたし―――」


「ごめんっ!

…………急いでるから」


私の言葉を遮るように言った。


「ね、優也!
けど、私が何か出来る事があるから――」


「ねぇーーよ!!」


ビクッ。
優也から初めて、聞いた怒鳴り声に思わず
怖くなった。


「なに?同情してる訳!?
ふざけんじゃねーよ。
オレはそんな弱い人間じゃない。
こんぐらいの事、どってことねーよ!」