頼まれてる………?
だ、れに?

もしかして、、、


「――っ」


私は、一瞬の隙を見て
走った。

男の人から逃げるために。
だけど、それはあっさりと止められた。


「ぉっと。逃げれると思ってんの?」


男は私の腕を強引に掴むと、無理矢理建物の壁に
私を押し付け逃げれないように固定した。


怖さのあまり、声が出ない。

体はガタガタと震えだし、目には涙が溜まってく。


私はそれでも、男の人に抵抗して逃げようとした。


「動くなっつってんだろーが!!

あんた、痛い目合いたい訳!?」


男の人の怒鳴り声と、蛇のように鋭い目付きが私を
動けなくした。


助けを呼ぼうにも、ここは中庭。

しかも、旅館からは少し離れていて長い通路を通らないと、これない。


だから、今ここで私がどんなに叫んでも助けなんてこない事は目に見えていた。