だけど、何で?
私はAクラスだから、あの人とは関わった事なんてないのに。
「あんた、公香だろ?」
その男の子………男の人はこちらにゆっくりと歩きながら、尋ねる。
私はズルズルと思わず後退りをした。
「は、はい」
私は怖さのあまり、強ばった顔のまま応えた。
「ふっ。そんなに怖がんないでよー?
別に、何もしない………から、さ」
男の人は、ニッと笑う。
バカにしたような、眼差しでジーンズのポケットに手を突っ込んだまま
相変わらず、私に近づく。
もう、1メートルも離れてない。
「な、なんの用ですか?
私、用事があるので
戻りたいんですけど」
ドクンドクンと大きく
飛び回る心臓を落ち着かすように、強気に言った。
「あーー…それは無理だねぇ。
俺、頼まれてる身だし」