「知里。お待たせ。
帰ろっか」
部活も終わり、着替えを済ませた竜斗が言う。
「うんっ」
竜斗と付き合いだしてからもうすぐ1ヶ月。
だけど、ずっと前から
一緒だから付き合ってる感じがあんまりしないんだよね……。
デートなんてした事ないし。
まぁ、一緒に居れるだけでいいのはホントだけど……やっぱり、少しはそんなのもしてみたいな………
なんちゃってね。
「なぁ、知里」
帰り道、夏の夜の涼しい風と
鈴虫の鳴き声が心地よく
響いている中、竜斗が
優しく声をかけてきた。
「ん?」
「知里さ、来週の日曜
何か予定ある?」
来週の日曜?
「ううん。
特にはないけど。
何で?」
そう聞くと竜斗は髪を
掻き上げて、いやぁ、さ。と言った。
暗くてよくみえないけど、竜斗…顔赤い?
「な、夏休み入ってさ
二週間くらい経のに、全然遊べてないじゃん?」
恥ずかしそうに言葉を詰まらせながら、続ける。