戸惑いの中に、嬉しさが混じった声を出す。


それだけの事なのに、
俺の顔は熱くなった。


あー…
やっぱかっこ悪いわ、俺。

「ね、啌君」


次は公香が話し掛けてきた。

エレベーターはもう10階だった。


「…ん?」


「啌君、まだ怒ってるのかなっ?」


遠慮がちに上目遣いでこっちを見ながら言う。


ドキン。


胸が跳ねた。
か、可愛い。
俺バカみてぇーだけど、今公香を抱き締めたいと思ってる自分がいる。


我慢、我慢、我慢!!
落ち着けよ、俺!

格好わるいわ、まじで。


チーン。

エレベーターが1階に
止まった。


俺はふっと笑って
ポンッと公香の頭に手を乗せる。


「怒ってねぇーよ。
また後でな」


そう言ってエレベーターから降りた。


よかった。
やっと仲直り出来そうな予感がする。


今日こそ言うんだ。
俺はお前が好きだってな。