エレベーターが38階で止まった。
きっと誰かが乗ってくるんだろう。
ウィーン。
エレベーターのドアが開き、チラリと前を見る。
「「あっ」」
二人の声が重なった。
「お、おはよ」
彼女は少し気まずそうに言う。
「………はよ」
なんて返せばいいのか
分からず間をあけてしまう。
これ、俺の悪い癖。
緊張したら喋れなくなる。だけど。
やっぱダメだよな。
このままじゃ。
……てか、俺が嫌だし。
エレベーターが25階に達した時、俺は息を飲んで声をかけた。
「なぁ、、公香」
ビクッ
公香の肩が大きくはね上がった。
……分かりやすいやつ。
ってまぁ、俺がそんな事
言えねーんだけど。
「な、何……?」
公香が恐る恐る聞く。
「………今日、話あるから11時に中庭な」
疑問文じゃなくて命令文で言った。
断れるのが恐かったから。
「えっ?
あ、うんっ」