「………何の、事?」


返事が遅い。
返す言葉、考えてくれたんだね。

大丈夫だよね。


「せっかく心配してくれたのに…ほっといてなんて言って」


「………別に気にしてねーし」


「ほ、んとに?」


「…………あぁ」


ううん。
違う。


「嘘でしょ?
だって返事遅いよ?」


「…なに、それ。
意味分かんねー」


そうゆうと啌君は本に視線を戻した。



どうしよう…
言う事言う事が裏目にでちゃう。


しばらく沈黙が続いたけど、それは私から破った。


「こーくん?」


「…」


「こーくんってば!」


「何だよ!あんた邪魔だから」


……………え?


「……な、によ。
そこまで言わなくたっていいじゃん。

もういいよっ!!
啌君なんて大嫌い!!」



「えっ?あっ――」


啌君に背を向けて走りはじめた時、後ろから啌君の声がしたけど
無視して逃げた。