「どうしてだよっ!!オレは……オレは捨てられたのか?」


「そんな訳がないだろう!!ここに来たばかりの時、お前言ってたよな!?
母さんが泣きながら、ごめんって何度も何度も繰り返してたって」


亭主関白で、頑固なじいちゃんは、怒鳴り付けるように言った。


「………あぁ」


「お前の母さんはなぁ、お前を手放したかった訳じゃないんだ」


眉間にシワをよせて、けれどどこか悲しそうに言った。


「……どーゆう意味だよ」

「母さんと父さんはなぁ、ずっと前から借金取りに追われてたんだよ。いわゆる、ヤミ金融だ」


「え……?」


信じられない……
だって、あの日までは
毎日3人で食卓を囲んで
飯食ってたんだよ?

楽しそうに。。
オレは幸せだったのに。


今まで分からなかった事実が少しずつ顔を出す。


「お前の父さんの会社が倒産したのは知っているだろう」


「………あぁ」