何度聞いても母さんは応えてくれない。


「おかあさんってばぁっ!!」


「うるさいわよっ!黙ってなさい!!」


優しいお母さんが初めて怒った。

だけど、その声は震えてて……







やがて着いたのは、空港。

車から降りると、またしてもオレの腕を掴み走った。

「――おっかあさん!?はぁはぁ、、、ど、しちゃったの!?」


走りながら聞いてもやっぱり返事は無くて。



「優也!ここから行きなさい」


「……え?」


母さんが指差した先には……………搭乗入口!?


「早くっ!!時間がないのよ!!」


「えっ?お母さんも一緒でしょ?」


「お母さんは………後から行くの」


「……ほ、ほんとに?」


「本当よ……。だから、早く行きなさい?」


母さんは優しく笑って言った。


「――分かった。けど絶対後から来てね?」


「もち、ろんよ……」


母さんは目に涙を溜めて、オレを抱き締めた。