家に帰ると、オレは愕然とした。


「お母さんっ!お家の中、空っぽだよ!?泥棒さんが入ったのかな?」


オレがそう言うと、母さんは突然泣き崩れた。


「優也っ――ごめんねぇっ。お母さんを許してぇ―」

何度も何度も泣きながら謝る母さんは、本当に小さく見えた。


「お母さん!?どーしたの?誰かに意地悪されちゃったの?」


「――っうぅ……」


母さんは永遠に泣き続け、オレはひたすら母さんの背中を擦っていた。


ようやく泣き止んだ母さんは、二階にあるオレの部屋に行き、オレのお気に入りのリュックサックを持ち出した。


「――優也。
これを持って。」


「…うん?これからどこかに行くの?」


「そうよ。もうじき時間が来るから急いで」


「………時間?」


もたもたしているオレに痺れを切らしたのか、オレの腕を掴むと
無理矢理車に乗せ出発した。


「ねぇお母さん。どこ行くの?」