ねぇ、蒼真は覚えてる?



あの日、私が言った言葉


私は貴方を傷つけた


それでも蒼真は


私を最後まで精一杯





愛してくれたね




「よしっ」



「準備完了」


「華恋、朝食出来たわよ」


「はぁ〜い、今行く」


時計を見ると


07:30


私は大急ぎで階段を下りた





リビングでは



お母さんが私の弁当を作っていた


「いただきまーす」


ご飯を一気に


食べて


大急ぎで家を出た


出る前にお母さんが


「頑張れ!新高校生」



と言ってくるたので


心強かった




相羽高校までは



バスで10分くらい



07:50


ギリギリ間に合う



ほっとして



バス停の椅子に座った


少しすると



私と同じ制服を着た


男の子が隣に座った




その男の子の

髪は真っ黒で

目や鼻がとても


整っていて


一言でいうと爽やか系男子だ

右手には本を持っている



本の表紙には

「記憶喪失とは?」


と書いてあった


今どきこんな本を


読む人がいるなんて…



「何か?」


私に気付いたのか


無愛想にその男の子が聞いてきた





私が


「すいません。」


と言うと

「別に、何か話したいみたいだったから」


そう言って男の子は笑った

ドキッ


私はこの時から

恋をしたのかもしれない


一生、実ることのない恋を…