静かだったカフェも、みなみの叫びで一気に
ざわざわとし始めた。
私は慌ててみなみの口を塞いだ。
「みなみ!何、大声だしてるのよ!」
「んー!」
「んーじゃないよ・・・。もう・・・。」
私はそっと口を塞いでいた手を離した。
「プハッ・・・だって・・・図星だなんて・・・。」
みなみは大げさに肩を上下させながらそう言った。
「・・・しょうがないよ。でも全然平気だし。」
これは本当。
「いじめ」ってすごい心がズタズタになる、って言うでしょ?
でも私は平気。
気にしてないからかもしれないけど。
だけど・・・いつも助けてくれる人がいるから、っていうのが大きいかも。
私が助けてほしいとき。
いつでも駆けつけてくれる。
「・・・ゆず。また考えてたでしょ?彼のこと。」
「うん。」
「・・・いつも駆けつけてくるからね。彼。
ゆずの王子様なんじゃないの?」
「それ、前も聞いたよ。
いつも言ってるでしょ?あの人は。
蓮は彼氏じゃない、って。
私達はそんなんじゃないの。」
「そう・・・。まぁ、自分で気付かないことには意味はないからね。」
言ってる意味が分からないけど。
私のことをいつもいつも助けてくれるのは・・・蓮。
皆月蓮。
苗字のままの人。
私にとって月みたいな存在。
いつもいつも見守っててくれる。
そんな蓮と出会ったのは家の近所にある丘。
私が中学生だったころ・・・。