慎也は怒ったんだろうか?
でも笑ってた。
何があった?
慎也の中で、なんかあったんか?
微妙な空気のまま、恭治のパンの袋を開ける音が聞こえた…。
次の時間、元保は教室に戻って来なかった。
戻ってきたのは、6限目の授業が始まる前の休憩。
ザワザワと皆、話に夢中だったからだろう。
多少気づいているやつらもいたけど、元保が帰ってきても何事もないようだ。
「…普通じゃん」
「…何が?」
やべ、漏れてた。
「いや、なんでもねぇ」
恭治が不快そうな顔で見てくるのをよそ目に、俺の視線と思考は元保でいっぱいいっぱいだった。