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「和希。お前、なにしてんだ」
ぼーっと外を眺めていた俺の頭に、とんっと教科書を乗せて笑う恭治。
恭治は俺と同じ高校三年生で、中学からの連れ。
シルバーの太陽に反射して光るピアスは、中学生の頃からつけてる。
葉山 恭治 と言えば、この近辺の学校では知らないものはいないと言われる程の不良で喧嘩ばかりしてきた男だ。
だが、その反対に俺 進藤 和希 は平凡な一生徒である。
何故この男と一緒にいるようになったかは俺も定かではない。
初めて言葉を交わしたのは中学三年の夏だった。
廊下で肩と肩がぶつかって恭治がガンを飛ばしてきたことに腹が立った俺が「謝れよ」と口にした事だった。
顔も名もそして恭治の喧嘩っぷりはもちろん俺も知っていた。
普段の俺ならややこしい事になりたくないから、謝って退いていただろうが、その時の俺は虫の居所が悪かった。
それは、当時俺が志望していた高校を変えた方が良いと担任から言われたばかりだったからだ。