……あ。 幸運なことにあたしの席は、窓側から二番目の真ん中。 「うわ、いいなぁ…紫織ー… あたし廊下側なんだけど…」 一方七海は、ムスッ、とした表情をして、項垂れながら指定された席へと向かっていく。 あたしも指定の席に座り、横へ視線を向けてみると、ピンク色に染まる桜が目に入ってきた。 まぁ…、いいか…。 それなりにいい位置だし。 少し空いている窓から春風が、ふわり、とあたしの頬を優しく撫でた。