季節は、春。
辺りをピンク色の桜吹雪で埋め尽くす甘い香りの季節。
―――そんな中あたしこと、
村瀬紫織は、晴れて高2となった。
…わけだが…
相変わらず、カーテンの奥の住人
―――八木翔哉の姿を見ない。
もうずっと、だ。
あーあ…と腕を伸ばしながら
あたしはゆっくり通学路を歩く。
「……くしゅんっ」
いくら4月といえど、まだまだ肌寒い。
しかも花粉症気味というハンデ。
鼻をぐずぐずさせながらも、ようやく学校に着き、校門を通過した時には…。
……予想通り。
生徒玄関前は多くの生徒たちで埋め尽くされていた。
―――今日は新学期。
そう、クラス発表。
わーい、と言う人も、えー、と言う人も、問答無用なクラス発表の日。
あたしもそこへ向かおうと
ゆっくり歩き出した瞬間。