それから、いったい何時間経っただろう。
「…、…ん…」
ぼやける視界の中、あふ…と、一つあくびをして上半身だけを起こす。
見渡せば、部屋はすっかり薄暗くなっていた。
窓からはオレンジ色の光が差し込んできている。
…もう夕方か…
ベッドの上で正座をして、んーっ、とひと伸びした時。
「紫織ー?」
階下の方で、声が響いた。
あたしはよっこいしょ、となんともオヤジ的にベッドから降りて、そのまま声のした一階へ向かう。
「…なにー?」
「あんたどうせ、今暇でしょ?
なら、これ翔哉くん家にやってきてくれる?」
と、差し出してきたのは、何かが入っているであろうビニール袋。
「……えー…」
「『えー』じゃないの。
ほらほら。じゃあ、よろしくね」
語尾に音符がつきそうな勢いで、あたしにそのビニール袋を強制的に押し付けた。
……この母親は…。