重いそのボールを両手で抱え込み、みっちゃん達の元へ戻ろうとまた歩き出します。


「みっちゃん、マーくん!ボール取れたよ!」


 笑顔を作ってノンちゃんは云いますが……どうしたことでしょう?

 マーくんの顔が真っ青です。


「マーくん、どうしたの?」


 異変に気が付いたみっちゃんが聞きます。


「いっ、いや……。あっ、ちょっと僕、お母さんに支度はまだか聞いてくるよ」

「? ……うん、わかった。先にノンちゃんとボール遊びをしてるね」

「うん……」


 お母さんの元へ走ったマーくんが、それから再び川辺に来ることはありませんでした。


「みっちゃん、ボール持ってきたよ。……あれ、マーくんは?」

「うん、なんかね、お母さんに支度が出来たか聞いてくるんだって。先にボール遊びしてマーくんが来るのを待とう?」

「うん!」