「ごちそうさま」


 朝ご飯を食べ終えた2人は、自分の分の食器をキッチンへと運んで皿洗いをした。

 隼人がちらりと美也の顔色を見ると、隼人がいることで安心したのか、だいぶ良くなっていた。それを見て小さく安堵の息を吐いた隼人は、静かに笑みを零す。


「やだっ、何笑ってるの?」

「えっ……いや、美也の顔色が昨日に比べて良くなっているから安心したんだよ」

「えへへ……ずっと隼人が私のそばにいてくれたから」


 張り詰めていた糸が切れたのか、お互いに笑い合う2人。ほんわかとした優しいこの場の空気に、美也は心の底から安心しきっていた。


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「俺、先に玄関で待ってるから、支度してこいよ」


 そう隼人に言われて、クシで髪を梳いたり薄い化粧をつける美也。

 今から警察署に行くんだ。要の度のすぎたストーカー行為をやめさせてもらうために。

 奥の部屋にある鞄を取ろうとリビングを歩く。

 途中、ちらりと玄関の方を見ると、隼人が何か思い詰めた表情で一点の場所を見つめていた。

 考え事かな?、美也は特に気にするまでもなく、奥の部屋に置いていた鞄を手にし、玄関へ行こうとリビングを歩く。