それから2人は、たわいのない会話を交わしたりしている間に、いつの間にかソファーの上で眠っていた。


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 朝になった。キッチンからは何かを焼く音と共にいい匂いが漂ってくる。美也はそれに気が付き、目を開けた。


「……隼人?何してるの?」

「おはよ、美也。美也のために朝ご飯を作ってあげようと思ってさ。もう出来るから座って」

「うっ、うん。ありがと」


 少し経って隼人の手によって運ばれてきた朝ご飯を目の前に、美也はゴクリと喉を鳴らす。卵焼きに味噌汁、ほかほかのご飯に納豆まで。


「いただきまーす」

「いただきます」


 2人は手を合わせてから、朝ご飯を食べ始める。


「それにしても、隼人。よく食器や調味料の場所が分かったね?」


 美也は気になったので、何気に隼人に聞いてみた。


「え?うっ、うん。この家のキッチン、俺ん家のキッチンと似てるから……もしかしたら、俺と同じような場所に置いてあるんじゃないかって」

「ふーん」


 一瞬、顔を曇らせた隼人に気付かない美也は、特に気にするまでもなくどんどん朝ご飯を口へと運ぶのであった。