リビングのソファーに腰掛けさせた美也を横目に、隼人はリビングから見えるキッチンへと移動した。

 冷蔵庫を開けて牛乳を取り出し、棚を開けてコップを取り出す。牛乳をコップに注ぎ淹れ、電子レンジで何分か温める。

 隼人はてきぱきとした動きでホットミルクを用意し、美也の前にある机の上においた。


「これを飲んだら落ち着くだろ」

「うん、ありがとう……」


 美也はホットミルクを一口飲み、ふぅ…と息を吐いた。


「隼人、あのね……明日、警察に言おうと思うの」

「え?なんで?」

「やっぱり隼人に迷惑かけたくないし、こういうことは警察に言った方がいいと思うから……」

「俺じゃ、力不足?」

「そういうわけじゃなくて!……ただ、隼人と安心した毎日を過ごしたいだけ」

「美也……わかった、明日警察に言いに行こう。そして要を捕まえてもらおう」

「……うん」


 そう頷いた美也の表情は、先程と違いずいぶんと和らいでいた。